
成績が下がったのは、勉強不足だけが理由でしょうか
「最近、成績が下がってきた」「宿題をやらなくなった」「授業に集中できていない」
そんな様子を見ると、保護者の方は心配になると思います。
もちろん、勉強の仕方を見直したり、学習時間を増やしたりすることで改善することもあります。
けれど、子どもの学力や学習意欲は、勉強だけで決まるものではありません。成績が下がる背景には、疲れや不安、家庭や学校での変化など、本人にも説明しにくい事情が隠れていることがあります。
子どもにも、勉強以外の「生活」があります
家庭には、それぞれさまざまな事情があります。
保護者の仕事が忙しい時期もあれば、家族の介護やきょうだいの世話などで、家庭全体に余裕がなくなることもあります。家族関係や生活リズムの変化、長い時間を一人で過ごすことなどが、子どもの心に影響する場合もあります。
これは、特別な家庭だけに起こることではありません。そして、その多くは子ども自身の力だけでは変えられないものです。
大人から見れば、「勉強する時間はあるでしょう」と思えるかもしれません。
しかし、机に向かう時間があることと、安心して勉強に集中できることは同じではありません。
家のことが気になっている。誰かのことを心配している。自分がしっかりしなければと思っている。あるいは、理由をうまく言葉にできないまま、不安や寂しさを感じている。
そんなときは、教科書を開くことができても、気持ちまで勉強に向けるのは難しいことがあります。
「やる気がない」ように見えても
子どもが抱えている負担は、外からはなかなか見えません。
「やる気がない」「集中力がない」「もっと頑張りなさい」
そう言われている子どもの中にも、勉強とは別のところで、毎日たくさんのエネルギーを使っている子がいるかもしれません。
成績が下がったときには、点数や勉強時間だけを見るのではなく、「最近、何か疲れていないかな」「安心して過ごせているかな」「一人で抱えていることはないかな」と考えてみることも大切です。
保護者の方を責めるための話ではありません
家庭にも、大人にも、いろいろな時期があります。
仕事が忙しいこともあれば、家族のことで余裕がなくなることもあります。生活環境が大きく変わることもあります。大人自身にも、簡単には解決できない事情があります。
だからこそ、家庭に余裕がない時期に「せめて勉強だけは」と、子どもを追い込まないことも大切なのではないでしょうか。
学力が少し停滞する時期があってもよいと思います。
生活が落ち着くこと。安心して過ごせる時間や場所があること。話を聞いてくれる大人がいること。
そうした環境が、もう一度勉強に向かう力につながることもあります。
教室を、安心して過ごせる場所の一つに
松本市で子どもたちと接するなかで、私たちの教室ができることは、問題を解かせたり、成績を上げたりすることだけではないと考えています。
いつもの時間に来れば、いつもの先生がいる。「今日はどうだった?」と声をかけてくれる人がいる。家や学校とは少し違う場所で、落ち着いて机に向かえる。
勉強を進める日もあれば、少し疲れている日もあります。そんな一人ひとりの様子を見ながら、その子が自分のペースを取り戻せるように支えていきたいと思っています。
教室が、子どもたちにとって「勉強をする場所」であると同時に、安心して過ごし、気持ちを整えられる居場所の一つになれたらと願っています。
子どもの成績が下がったとき。「どうして勉強しないの?」と尋ねる前に、「この子は今、どんな毎日を過ごしているのだろう」と少し立ち止まって考えてみる。
そこから見えてくるものも、きっとあると思います。


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