2025年度から、私立高校の授業料支援金を現行の39万6千円から45万7千円に増額するという政府の方針が、現実味を帯びてきました。
これにより、私立高校の学費負担は軽減されるものの、完全な無償化には至っていません。しかし、この動きは私立高校を選ぶハードルを下げるものであり、今後の高校選びにも影響を与える可能性があります。
今回は、こうした支援策が進む中で、私立高校に進学しやすくなることによる、メリットを整理してみます。

学費の負担が軽減され、学校選びの自由度が向上
私立高校の学費は、公立高校に比べて高いため、「学費の負担を考えて公立を選ぶ」というケースが少なくありませんでした。支援金の増額によって学費負担が軽減されれば、学費の問題で選択肢が狭まることなく、子どもに合った学校を選びやすくなります。
たとえば、調理や食に関する学びに興味がある場合、松本第一高校の食物科は魅力的な選択肢です。しかし、学費負担を考え、公立高校の普通科に進む生徒も少なくありませんでした。支援が拡充されることで、専門的な学びを希望する生徒がより適した環境で学べるようになります。
また、系列大学への進学を希望する場合、都市大塩尻高校は東京都市大学への推薦枠を持ち、理系学部への進学を視野に入れやすい環境が整っています。経済的な負担が減ることで、学費面を理由にこうした進学ルートを諦めることが減るでしょう。
特色ある教育を受けやすくなる
私立高校は、それぞれの学校が独自のカリキュラムを持ち、公立高校では対応が難しい専門分野を学ぶことができます。
• 松本国際高校:インターナショナルバカロレアなどの難関コースから、スポーツ、マンガ・イラスト、環境福祉など専門的なコースが充実
• エクセラン高校:美術や福祉の専門教育が特色
• 松本第一高校:食物科を設置し、調理技術を学べる
こうした専門性の高い教育を受けるには、これまでは学費の負担がネックとなることがありました。支援金が拡充されることで、学費の心配なく、興味のある分野に進める可能性が高まります。
また、普通科でも、私立高校は特色ある教育プログラムを導入しているところが多く、大学受験を意識した手厚い指導を受けられる場合もあります。
進学・就職の選択肢が広がる
私立高校は、大学進学や就職のサポートが充実していることも大きな特徴です。
•松商学園高等学校:経済・経営系大学への指定校推薦が充実
•都市大塩尻高校:東京都市大学への指定校推薦がある
•松本第一高校:幅広い進路に対応する総合コースがある
公立高校でも大学進学は可能ですが、指定校推薦の枠が多い私立高校では、安定した進学ルートを確保しやすくなります。支援が拡充されることで、こうした進学ルートを経済的な不安なく選択できる生徒が増えることが期待されます。
また、専門分野に特化した学科がある私立高校では、企業とのつながりが強いケースも多く、就職希望者にとっても有利な環境が整っています。
設備や学習サポートが充実た環境を選べる
私立高校は設備投資がしやすく、ICT教育や実習設備が充実していることも特徴です。
•松本国際高校:IBコースではパソコンを活用した授業を多岐に実施
•松本第一高校:補習や模試対策が充実
•松商学園高校:部活動が全国レベルで活発
•都市大付属塩尻高校:寮建設、送迎バスなど毎年設備がアップデートされている
公立高校でもICT教育が進んでいますが、私立高校は比較的早い段階で最新技術を取り入れやすく、学習環境の面でも優れた点が多いと言えます。
また、部活動の環境も整っているため、競技レベルの高い環境で活動したい生徒にとっても、支援の拡充により選択肢が広がることになります。
まとめ
今回の支援金増額により、私立高校の学費負担は軽減され、これまで「学費が理由で公立を選ぶしかなかった」家庭も、より柔軟に進学先を選べるようになります。
• 学費の負担が軽減され、専門的な学びを選びやすくなる
• 特色あるカリキュラムを持つ学校へ進学しやすくなる
• 大学進学や就職の選択肢が広がる
• 設備や学習サポートが充実した環境で学べる
完全な無償化ではないものの、今後の高校選びには大きな影響を与えると考えられます。各学校の特色をしっかりと把握し、最適な進路を選んでいくことが重要です。
次回のブログでは、私立高校無償化により予想されるデメリットについても、検証してみたいと思います。